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ベルギーのPaleo、精密発酵ミオグロビンの商用化へ前進|1万リットル超で実証

出典:Paleo

2026年9月11日更新

代替肉などの風味や外観を改善するために、精密発酵でミオグロビンを開発するベルギーのPaleoが、200万ユーロ(約3億5,700万円)を調達した。Beyond Impactが主導した。

Paleoは調達した資金で、規制当局への申請手続きを進め、商用パートナーとの提携強化を図る。

1万リットル超で技術を実証、米国でGRAS手続き

出典:Paleo

Paleoが開発するのは、動物の筋肉に存在するミオグロビンだ。同社はミオグロビンを、プラントベース食品の味、匂い、外観を肉や魚のようにする主要なタンパク質と位置づけ、開発を進めてきた。

これまでに、ヒト向けの牛、鶏、豚、羊、マグロだけでなく、ペットフード向けのマウス、ラット、ウサギのミオグロビンを開発。さらには絶滅したマンモスのミオグロビンも再現している。

公式サイトによると、Paleoは酵母(Komagataella phaffii)に動物由来のミオグロビンをコードするDNA配列を導入し、ミオグロビンを生産する。これは精密発酵と呼ばれるもので、遺伝子組換えした微生物を用いて特定成分を生成させる技術を指す。

精密発酵は糖尿病治療薬ヒトインスリンのブレイクスルーに始まり、現在ではチーズの製造で使用されるレンネット酵素の製造にも利用される身近な技術だ。近年は乳タンパク質など食品成分の製造への応用に注目が集まっている。

発酵プロセスでは酵母を増殖させた後、特定の培養条件下でミオグロビンを細胞外に分泌させる。続いて遠心分離で酵母とタンパク質を分離し、ろ過・濃縮することで、酵母由来DNAを含まないミオグロビンを得る。同社はこれを植物性の代替肉や代替魚の味、香り、色、鉄分などの改善に利用したいと考えている。B2Bとして供給する計画だ。

Paleoのミオグロビンを使用したバーガー(左)と使用していないバーガー(右) 出典:Paleo

Green Queenの報道によると、Paleoは自社で大規模な生産施設を建設するのではなく、複数の受託製造事業者を活用しており、すでに1万リットルを超える規模で技術を実証しているという。まずはアメリカでGRAS手続きを進め、その後EUでも申請する計画だ。

2025年には、規制プロセスの長期化や代替タンパク質分野への投資減退を背景に事業戦略を見直し、ルーヴェンの研究開発拠点で大幅な人員削減を実施すると発表した。

インポッシブルに続けるか、Motifは商用化後に事業終了

出典:Paleo

精密発酵由来のミオグロビンなどヘムタンパク質では、インポッシブル・フーズが大豆レグヘモグロビンを開発し、自社の一部の代替肉製品に使用している。

同社製品はアメリカ、カナダ、オセアニア、シンガポール、香港などで販売され、2024年3月時点ではアメリカで3万以上の小売店、4万5,000店の外食店舗に展開されている。

インポッシブル・フーズは植物にみられるヘムを精密発酵で生成したが、Paleoは動物の筋肉にみられるミオグロビンの再現に取り組む。

Paleoと同様に精密発酵ミオグロビンの事業化を進める企業もある。チリのLuyef Biotechnologiesは精密発酵で牛のミオグロビンを生産しており、2025年4月には、同社のミオグロビンが精密発酵やバイオマス発酵原料などを対象とするF-Label認証を取得した。

アメリカの肉カテゴリ全体の小売売上に占める植物性代替肉・シーフードの売上が約0.7%と、ごく一部にとどまる中、Paleoのミオグロビンが代替肉市場を拡大する鍵となるかが注目される。

一方、同じくミオグロビンを開発して、GRAS通知に対してアメリカ食品医薬品局(FDA)から「質問なし」のレターを受領し、販売するフェーズまで到達したものの、事業終了したMotif Foodworksの事例もある。

Paleoは2023年に対象をペットフード市場へ広げた。過去2年間で生産コストを613分の1に削減したとCEO(最高経営責任者)のHermes Sanctorum氏は言及している。

現在も精密発酵由来のヘムタンパク質を使用した製品を複数市場で展開している代表例がインポッシブル・フーズだ。Luyefのように事業化を進める企業がある一方、Motifのように閉鎖した事例もある中、Paleoが商用化までたどり着けるのか、その後も事業を継続できるかが注目される。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

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