出典:ADM
大手農産物加工・食品原料メーカーADMは先月31日、天然着色料の生産を拡大するため、ケンタッキー州ブーン郡にある工場に1,600万ドル超(約25億円)を投資すると発表した。
2027年初頭までに14,000平方フィートの製造スペースと設備を追加し、同社の天然由来着色料「Colors From Nature」の生産能力を「大幅に拡大」する。増産の具体的な数値は公表していない。
ADMは液体・粉末の着色料生産を拡大することで、高まる需要への対応を進める。
「Colors From Nature」は、植物などの天然原料を用いた着色料となる。公式サイトによると、赤・ピンクでは、黒人参、紫キャベツ、赤大根、紫サツマイモ、レッドビート、エルダーベリー、ハイビスカスなど、黄・オレンジでは、ニンジン、ウコン、アナトー、パプリカ、βカロテン、リコピンなどを使用している。
MAHAで進む合成着色料の段階的な排除

出典:FDA
背景にあるのは、アメリカ政府が進める石油由来の合成着色料を食品から段階的に排除する動きだ。アメリカは、「アメリカを再び健康にする(Make America Healthy Again)」、通称MAHAの一環として、石油由来着色料の段階的な排除を進めている。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は2025年1月15日、赤色3号について食品での使用許可を取り消すことを発表した。食品メーカーは2027年1月15日までに製品の配合を変更する必要がある。
FDAはまた、赤色40号や黄色5号、緑色3号などの6種類の石油由来着色料について、業界と連携し、2026年末までに食品供給から排除することを目指している。
先月には、石油由来着色料Orange Bの使用許可を取り消したほか、オレンジの果皮への使用が認められているCitrus Red No.2についても使用許可の取り消しを提案した。この2つは現在では業界で使用されていない、またはほぼ使用されていない着色料だが、FDAは石油由来着色料を食品供給から段階的に排除する取り組みの一環と位置付けている。
食品大手が相次ぎ配合変更、天然着色料の供給不足の懸念も

出典:Phytolon
こうした動きを受け、食品メーカーでも合成着色料からの切り替えが相次いでいる。
FDAが8月11日時点でまとめた企業の対応状況によると、General Mills、Hershey、Kraft Heinz、Walmartなどが2027年末までをめどに、アメリカで販売する対象製品からFD&C着色料(該当する着色料)を廃止する方針を示している。ネスレUSA、Tyson Foods、TargetなどはすでにFD&C着色料の使用を終了した(2026年8月20日アクセス)。
Marsは8月13日、M&M’S、SKITTLES、STARBURST、EXTRAについて、FD&C着色料を使用しない新商品を米Amazonで発売すると発表した。全面的な切り替えではなく、従来の商品と並行して販売する。
一方、天然由来色素への急速な移行は、原料供給にも影響を与える可能性がある。
Hersheyは先月、2027年末までのFD&C着色料廃止に向けて、スピルリナ、人参、大根、ビートなどを原料とする天然着色料のサプライヤーと協業していることを明らかにした。同社は、大手企業が天然着色料への切り替えを進めることで、需要が供給を上回り、短期的に供給不足になる可能性も指摘している。
食品メーカーによる配合変更が広がるなか、天然着色料を安定的に供給できる体制の確保が課題になりつつある。こうした需要の拡大を見据え、植物から抽出する着色料だけでなく、遺伝子組換え微生物を用いて特定成分を生成する精密発酵技術で着色料を開発する企業への投資も進んでいる。
精密発酵スタートアップのPhytolonは今年2月、FDAから赤色着色料の使用を認める最終命令を受けた。しかし、その後に異議申し立てが行われたため発効は延期されており、現時点ではアメリカで販売可能な状態にはいたっていない。
精密発酵による着色料では、Phytolonのほか、ChromologicsやOctarine Bioも過去1年で資金調達を実施するなど、商用化の追い風となる動きがみられる。
ADMによる今回の設備投資も、規制対応に伴って拡大する天然着色料の需要を取り込む動きとみることができる。ADMは精密発酵卵白タンパク質の商用生産でThe EVERY Companyと提携しており、着色料でも同様の連携が広がるか注目だ。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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