出典:Nūmi
細胞培養でヒト母乳成分を開発するフランスのNūmiは今月、フランス政府の投資計画「France 2030」の研究開発支援制度「i-Démo」に採択され、370万ユーロ(約6億6,000万円)の非希薄化資金(*)を獲得したと発表した。
*非希薄化による資金調達とは、資金調達後に既存株主の株比率が減らないものをいう。
フランス政府の支援で工業化を加速

出典:Nūmi
France 2030は、フランス政府が2021年に発表した投資計画で、産業分野の遅れを取り戻すとともに、革新的な技術への大規模な投資を行い、支援することを目的としている。総額540億ユーロ(約9.6兆円)が投じられる。
i-Démoは、フランス経済にとって価値と競争力を生み出す製品・サービスの開発や、工業規模またはその前段階の規模での実証を支援する制度となる(PDF p3)。
Nūmiは今回得た資金で、バイオプロセスのスケールアップ、母乳由来の生理活性成分の開発、工業化に向けた準備を進める。
2023年に設立された同社は、乳腺細胞を培養し、ヒトの母乳に含まれる成分を開発している。
公式サイトによると、病院や母乳バンクとの提携を通じて乳腺細胞を取得し、栄養や刺激を与えながら管理された条件のもと培養する。培養後は細胞と産生された液体を分離し、膜分離や抽出、クロマトグラフィーなどを組み合わせて精製する。
同社によると、ヒト母乳には1,500種類以上の生理活性分子が含まれる。ラクトフェリン、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)、抗体のほか、脳の発達に関わるタウリン、DHA、ARAも豊富に含む。
Nūmiのソリューションは母乳育児ができない家庭に助けとなるものだが、同社は母乳に含まれる成分を、乳児だけでなく幅広い年代に向けて提供することを目指している。
50Lバイオリアクターで生産、工業化へ前進

出典:Nūmi
工業化に向けたスケールアップも進んでいる。
Nūmiは今年、社内で初めて50Lバイオリアクターでの生産を達成した。
共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のEden Banon-Lagrange氏によると、50Lでは酸素輸送、撹拌条件、せん断応力、プロセス制御といった、工業生産で想定されるものと同じ課題が現れるという。同氏は、今回の規模で(プロセスが)機能することを実証したとしている。
今年初頭にはEUのEIC Acceleratorにも採択され、欧州委員会から250万ユーロ(約4億4,600万円)の助成金を受けることを発表した。2023年にはHeartcore Capital、HCVC、Kima Venturesなどから300万ユーロ(約5億3,500万円)を調達しており、今回、フランス政府からの支援で工業化に向けてさらに前進することになる。
細胞培養と精密発酵、母乳成分の商用化で異なるアプローチ

イメージ画像(フリー素材)
母乳成分の生産では複数のアプローチが開発されている。
Nūmiと同様の技術を利用する企業としては、アメリカのBrown Foodsが細胞培養による母乳とミルクの開発を進めている。同分野では先行企業のBIOMILQが知財紛争が続くなか、2025年に破産を申請した。
一方、精密発酵を用いてヒトの母乳に含まれる特定成分を開発する企業もある。
代表的企業であるアメリカのHelainaはヒトラクトフェリン「effera」を開発し、複数製品に採用されている。今年6月には、ネスレと乳幼児栄養分野で複数年の提携を締結。同月さらに、Vital Nutrientsからefferaを配合した子供向けマルチビタミン製品が発売された。
Nūmiは細胞培養によりヒトの母乳に含まれる複数の生理活性成分の再現を目指している点で、Helainaとアプローチが異なる。
※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Nūmi















































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