代替プロテイン

シンガポールの代替肉企業Next Genがシードで約10億円を調達、3月にシンガポールで発売へ

 

シンガポールを拠点に代替鶏肉を開発するNext Genはシードラウンドで1000万ドル(約10億円)の資金調達を実施した。

同社は調達した資金で、今年3月にシンガポールのレストランで代替チキンTiNDLEを発売する。最初はシンガポールでの発売となるが、アジアの他の市場へも参入していく構えを見せている。

今回調達した資金は、新たなプラントベース食品の研究開発にもあてられる予定。

大豆・小麦ベースの代替チキンTiNDLE

今回、シードで約10億円という植物肉業界の中では巨額な資金調達に成功したNext Genの代替チキンTiNDLEは、大豆、小麦グルテン、小麦デンプン、ひまわり油、ココナッツオイルなど9つの原料を使用している。

100gあたりのタンパク質は17g

TiNDLEは「lipi」という特別成分をブレンドしており、これが本物の鶏肉のような味と風味を生み出す秘訣となっている。

最初にリリースされる商品は、TiNDLE Thyという鶏もも肉の代替品となる。

TiNDLE Thyは中華料理、日本料理、インド料理、中東料理などさまざまな料理に使えるという。

出典:Next Gen

今回のラウンドには、シンガポール政府が所有する投資会社テマセク、シンガポールを拠点とするK3 Ventures、シンガポール経済開発庁のベンチャーキャピタルNew Venturesなどが主導したほか、NX FoodFEBE VenturesBlue Horizonなどが参加した。

Next Genは今回のラウンドで700万ドルの調達を目標としていたが、目標を大幅に上回る1000万ドル(約10億円)の調達に成功した。

同社は今後1、2年以内にシリーズAの資金調達を実施するとしている。追加資金で商品を増やし、欧州・米国市場への参入を狙う

欧米市場への進出については、レストランやシェフとの販売ネットワークを指揮する人物を採用し、準備をすでに進めているという。

食品業界のベテラン2人が立ち上げたスタートアップ

出典:Next Gen

Next Genは2020年10月にもシードラウンドで220万ドルを調達していた。前回は創業者のTimo Recker氏による出資で、今回のラウンドで初めて外部から出資をうけた。

これまでの調達総額は1220万ドル(約13億円)となる。

同社はシンガポールに本部と研究開発センターを構えており、前回の資金調達時には、5年間で中国、米国、欧州への進出に言及していた。

アジアの主要都市でリリース後には、小売にも展開する予定だという。

3月にシンガポールレストランで発売した後は、アジア主要都市への参入、小売での販売強化、欧米進出といった展開が予想される。

Next GenはTimo Recker氏Andre Menezes氏が設立したスタートアップ。

Andre Menezes氏(左)とTimo Recker氏(右) 出典:Next Gen

Recker氏はドイツの植物肉ブランドLike Meatを設立した人物。この会社は2020年にLIVEKINDLY Collectiveに買収された。

Menezes氏は前職でシンガポール最大の食品輸入販売会社Country Foodsのゼネラルマネージャーを務めており、共同創業者どちらも食品業界で十分な経験を有している。

植物性代替肉の市場は10年以内に850億ドル規模に

UBSによると、植物性代替肉の市場は2018年には46億ドルだったが、2030年には850億ドルにまで成長すると予想されている(下図)。

出典:UBS

また、2019年11月から2020年11月の1年間にアジアの代替タンパク質企業に集まった投資額は2億3000万ドルと報告されている。

これは前年までの3年間に集まった投資総額の4.5倍になる。

つまり、直近1年間の投資総額が、前年までの3年間を合わせた額を大幅に上回る結果となった。

代替タンパク質領域で出資額が多かった上位5位の企業は次のとおり。

・オーストラリアのv2food

・香港のグリーンマンデー(greenmonday)

・中国のスターフィールド(Starfield)

・シンガポールのShiok Meats

・シンガポールのgrowthwell

 

上記のうち、Shiok Meats以外はすべて植物性代替肉企業となる。

これらの事実から、代替肉のニーズの高まりと、アジア市場への注目の高さがうかがえる。

競争が加熱するアジアの代替肉市場

出典:Next Gen

アジアでは代替肉スタートアップの台頭が相次いでいる。

アジア代表格ともいえる香港のグリーンマンデーは今年1月にイギリスのレストランとの提携を発表。今年中には本格的なイギリス進出をする予定。

中国・香港にはグリーンマンデーのほかに、Hey MaetHero ProteinTN MeatHaoFoodなどのスタートアップ企業が次々と登場している。

海外からアジアへ進出する動きも加速しており、アメリカのイート・ジャストはシンガポールに生産工場建設を発表したほか、中国ファーストフード大手のDicosに同社の代替卵を導入している。

インポッシブルフーズは昨年、香港・シンガポールに進出ビヨンド・ミートはインポッシブルより先に中国市場に進出しており、同社の生産工場2つは中国本土で今年中に稼働を開始する。

シードラウンドで約10億円という植物肉業界では異例ともいえる資金調達に成功したNext Genが、競合がひしめくアジアで存在感を示せるかどうか、今後が注目される。

 

参考記事

Alt Chicken Startup Next Gen Raises US$10M For Tindle Launch In Record-Breaking Seed Round

Singapore’s Next Gen Raises $10M Seed Round for Plant-Based Chicken

Temasek Makes Rare Seed Investment in Plant-Based Chicken Maker

 

アイキャッチ画像の出典:Next Gen

 

関連記事

  1. そら豆を原料に代替卵を開発するPerfeggtが約4.9億円を調…
  2. カナダのThe Better ButchersとGenuine …
  3. 米Wild Earth、2023年に細胞培養によるペットフード製…
  4. カフェに溶け込む培養肉―シンガポール・フードテック実食レポート(…
  5. 万博展示の培養肉、全国の科学館展示を目指して大阪大学がクラウドフ…
  6. Umami BioworksとCell AgriTech、東南ア…
  7. 培養肉シンポジウム「CMS Japan」初開催|細胞農業スタート…
  8. 【創業者インタビュー】精密発酵でヒト母乳タンパク質を開発するPF…

おすすめ記事

代替肉はなぜ必要なのか?代替肉の必要性、分類、現状をわかりやすく解説

ベジタリアン、ヴィーガンでないなら代替肉は必要ないのでは? 日本は…

水耕栽培システムを手掛けるPinnacle Food Group、精密発酵への参入加速|ヒトラクトフェリンを初期ターゲットに

出典:Pinnacle Food Group垂直農法と水耕栽培で事業を展開するカナダ企業Pinn…

ADMが精密発酵スタートアップNew Cultureと戦略的パートナーシップを締結、スケールアップを支援

精密発酵により持続可能なチーズを開発する米New Cultureは17日、代替乳…

オランダのThe Protein Brewery、菌糸体原料「Fermotein」でEU新規食品の認可取得|2027年に600トン供給計画

出典:The Protein BreweryオランダのスタートアップThe Protein Br…

培養肉でメキシコ初のスタートアップMicro Meatは量産化段階にはいる

細胞農業の進歩により培養肉がスーパーの棚に並ぶ日も近いのかもしれない。M…

菌糸体肉の米Meati Foodsが約155億円を調達、6000箇所以上の小売店に拡大

菌糸体肉を開発する米Meati Foodsは今月、シリーズC1ラウンドで1億ドル…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP