代替プロテイン

細胞性食品の産業化に向け、議連が提言取りまとめ|量産化支援やロードマップ策定求める

出典:吉富愛望アビガイル氏 LinkedIn投稿

細胞性食品の産業化に向け、「細胞農業によるサステナブル社会推進議員連盟」が7月28日、国内における細胞性食品産業の確立に向けた提言を取りまとめ、関係省庁に提言書の骨子案を示した

培養肉などの細胞性食品は、細胞を、栄養を含む培養液を用いてバイオリアクターで培養して作られる食品で、環境負荷の低減や人口増加に伴う食料需要への対応、食料安全保障の強化につながる持続可能な食品生産として期待されている。

「細胞農業によるサステナブル社会推進議員連盟」は、細胞性食品の法整備を進めるために2022年6月に発足した

細胞農業研究機構(JACA)代表理事の吉富愛望アビガイル氏リンクトイン投稿によると、5回の会合と13の団体・アカデミアへのヒアリングを経て提言書をまとめた。同日の会合には、内閣官房、内閣府、消費者庁、農林水産省、経済産業省、環境省の関係者が出席した。

会合では提言書の骨子案が関係省庁に提示され、議論が行われた。提言では、①ガイドライン策定とロードマップの提示②実証試験や量産化に対する公的支援の強化③関係省庁の連携強化および中長期的なロードマップ提示を求めた。

とかしきなおみ衆議院議員は会合で、細胞農業について技術開発だけでなく、社会的な認知や理解を広げることも重要だと指摘。環境への適応政策にも貢献する可能性があるとして、国を挙げた情報発信や人材育成の必要性を訴えた

今後、提言書が最終化される見込み。現時点では、提言書最終版の提出時期や提出先は明らかになっていない。

細胞性食品(肉・魚・脂肪・ペットフード)の認可状況 Foovo作成

国内では、細胞性食品をめぐる制度整備が進められており、今年5月末には国内で初めて細胞性食品の安全性確保に関するガイドライン案が公表された

一方、海外ではシンガポールアメリカオーストラリア香港でヒト向け細胞性食品の販売実績がすでにある。

イギリスは細胞性食品を「影響が大きく、短期的に実現可能な技術で、早急なガイダンスや枠組みが必要」な分野に位置づけ、ガイダンスの整備を進めている。韓国では特区が設置されたほか、規制プロセスが明確化されている。アジアではタイに続き、インドでもBiokraft Foodsによる同国初の申請が確認されている

少ない資源で効率的に食料を生産する細胞性食品の社会実装を進めることは、日本の食料安全保障の強化に寄与するものであり、産業競争力の強化にもつながる。

吉富氏は「各国が『ルール形成』から『生産実績の獲得』へ移行しつつあるなか、国内の事業環境の見通しが不透明なままでは、技術も資本も国内の基盤形成に結びつかないまま流出しかねません」と指摘している

政府の成長戦略でもフードテックは重点分野の一つに位置づけられているが、官民投資ロードマップで示された「新規食品」の具体例には、細胞性食品は挙げられていない

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:吉富愛望アビガイル氏 LinkedIn投稿

 

関連記事

  1. チリのNotCoが米国進出、全米のホールフーズで代替ミルクの販売…
  2. 米Força Foods、スイカの種由来の代替ミルクを発売|アイ…
  3. スイスのCosaic、クリーミーさと安定性を実現する酵母由来エマ…
  4. 中国の細胞性食肉企業Joes Future Food、中国・シン…
  5. 米Offbeast、牛肉と植物を50%ずつ配合したホールカット肉…
  6. MeatableがTruMeatと提携、2025年後半にシンガポ…
  7. CO₂由来タンパク質を開発するオーストリアのArkeonが破産申…
  8. イスラエルのMarineXcell、独自の核初期化技術で細胞培養…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

菌糸体由来のブロック肉を開発するMeati FoodsがD2C販売をスタート、24時間で完売に

菌糸体由来のブロック肉を開発するアメリカ企業Meati Foodsは14日、自社…

代替卵のUMAMI UNITED JAPAN、植物原料による卵の機能再現を目指し、東京電機大学と共同研究

山﨑寛斗氏 出典:UMAMI UNITED JAPAN日本発の代替卵スタートアップUMAMI U…

精密発酵ヒトラクトフェリン、米国で複数ブランドが販売・予約注文開始──Helainaの量産、Eclipse IngredientsとPFx Biotechの資金調達も追い風

出典:Kroma Wellness母乳に微量しか含まれない希少なタンパク質であるヒトラクトフェリ…

Basil Streetがピザ自販機をアメリカの国際空港に導入、1年半で200の空港へ拡大予定

ピザ自販機を開発するアメリカのBasil Streetは、食品・ドリンクの自動販…

培養肉モサミートが培養脂肪用培地の大幅コストダウンに成功

オランダの培養肉企業モサミートが、培養脂肪用培地のコストダウン成功を発表した。…

食肉生産者を培養肉生産者に変えるドイツ企業Innocent Meatの「Clean meat as a service」

出典:Innocent Meat培養肉はクリーンミート、細胞培養肉とも言われ、動物を殺さずに食肉…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート販売開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP