出典:WAKU
福島県南相馬市のバイオスタートアップWAKUは、プレシリーズAラウンドで4億8,000万円を調達した。
グルタチオンを活用したバイオスティミュラント「WAKUFUL」の事業拡大に加え、分裂酵母を活用したグルタチオンなど高機能素材の研究開発を本格化する。
今回のラウンドでは、2025年7月の第三者割当増資による1億8,000万円に続き、2026年8月に増資で1億5,000万円、融資で1億5,000万円を調達し、総額4億8,000万円となった。
8月の第三者割当増資には、既存株主のちゅうぎんキャピタルパートナーズ、朝日メディアラボベンチャーズに加え、南都キャピタルパートナーズ、とっとりキャピタルが新たに参加した。
分裂酵母を高機能素材の生産プラットフォームに

出典:WAKU
WAKUは、植物や動物の体内にも存在するグルタチオンに着目し、これを活用したバイオスティミュラントWAKUFULを開発している。
グルタチオンは、「グルタミン酸」「システイン」「グリシン」の3つのアミノ酸から構成され、抗酸化作用や解毒作用など生体内でさまざまな役割を担う。植物でも光合成能力の強化や、高温など環境ストレスの変化によって生じる活性酸素の無毒化に関わるとされる。
WAKUは、医薬品や美容分野などで活用されてきたグルタチオンを農業に応用。開発したバイオスティミュラントWAKUFULを通じ、持続可能で生産性の高い農業の実現を目指している。
バイオスティミュラントとは、植物や土壌に良好な影響を与える物質や微生物をいう。
同社は今年3月にWAKUFULを正式に発売。8月には岩手県花巻市で初の自社工場を本格稼働し、500mlボトル換算で年間最大14万本の生産体制を構築した。500mLボトル1本は約30アール(3,000㎡)の農地への使用を想定している。
同社が現在研究を進めているのが分裂酵母だ。
食品や化学品などの分野では、パンやビールにも使われる出芽酵母(パン酵母)が広く産業利用されている。一方、分裂酵母は基礎研究のモデル生物として利用されてきたものの、高機能素材を生産する産業基盤としての活用は限定的だという。
WAKUは、出芽酵母とは異なる分裂酵母の特徴を生かし、グルタチオンをはじめとする高機能素材の生産を目指している。現在、分裂酵母を活用したグルタチオンと高機能素材の開発に向けた研究を進めており、関連技術について2026年8月に特許を出願した。
食品やヘルスケア分野への展開も

花巻の自社工場 出典:WAKU
調達した資金は、分裂酵母によるグルタチオンの生産技術や新たな高機能素材の探索、将来の量産を見据えた生産・スケールアップ技術の開発、研究設備の拡充などにあてる。
今後は農業分野を起点に、食品、ヘルスケア、医薬品、化粧品、環境などへの展開を目指すとしている。
分裂酵母とグルタチオンをめぐっては、直近でも新たな研究成果が報告されている。
理化学研究所、東京大学、広島大学などの研究チームは今月、野生株の分裂酵母がグルタチオンを細胞外に放出し、周囲の細胞の生育を支えていることを明らかにした。研究は工業的なグルタチオン生産を目的としたものではないが、分裂酵母自身がグルタチオンを放出する性質を示した成果となる。
また、分裂酵母を物質生産に利用する研究としては、コエンザイムQ10やエルゴチオネインの研究が報告されている。
WAKUが分裂酵母によるグルタチオンなどの高機能素材を量産する技術を確立し、実用化すれば、産業的な利用が限られていた分裂酵母の産業利用を広げる可能性がある。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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