出典:PARIMA
アヒル・鶏の細胞性食品を開発する仏PARIMAは今月2日、細胞性ウズラを手掛けるオーストラリアのVowと協力し、22,000リットルの初回生産で数トンの細胞性アヒルの生産を実証したと発表した。
「スケールアップに向けたリスク低減を示す重要なシグナル」

出典:PARIMA/Vow
PARIMAは、Vowのシドニー施設にある既存インフラを使い、初回から2万リットルの生産を実施した。Vow創業者のGeorge Peppou氏はこれを受けて、「今回の提携により、Vowがすでに達成した経済性がパートナー企業にも有効であることが実証されました」とプレスリリースで述べた。
Good Food Institute(GFI)のElliot Swartz氏は、「2万リットル規模で技術移転プロセスを1回で成功させることは小さな成果ではなく、細胞性食品のスケールアップに向けたリスク低減を示す重要なシグナルです」とリンクトインで評価した。
PARIMAによると、このラインはこれまでに建設された細胞性食品の製造ラインとして最大規模となり、今回の生産は以前と比べて99%低い生産コストで達成されたという。
PARIMAの技術は、非遺伝子組換え細胞を足場材、マイクロキャリア、成長因子、分化ステップを使うことなく、浮遊培養により未分化バイオマスとして増殖させるもので、バイオマス発酵のイメージに近い。
PARIMAは、細胞性フォアグラを開発するフランスのGourmeyが細胞性鶏肉のVital Meatを買収して2025年10月に設立された。
今回の協業は、各社が自社で大型工場を建設するのではなく、共有インフラや受託生産を活用する方向へ細胞性食品産業が移行しつつあることを示す事例といえる。
PARIMA自身も、Vowとの協業について、個別の生産施設ではなく共有インフラで生産を行うことで、資本集約度を下げることが可能になると言及している。
受託製造に軸足を移すVow、各国で審査を進めるPARIMA

Foovo作成(2026年4月16日時点の状況)
Vowはこれまでにシンガポール、オーストラリア、香港での販売実績を有する。
Forbesの報道によると、Vowは今年初頭に自社で食品を作る体制から、他社の培養細胞を用いて完成品を製造する受託製造の方向へとシフトしたという。
今年1月時点では公式サイトに提供レストランの表示があったが、現在は当該ページは公式サイトに表示されていない。今回の発表は、Vowの受託製造シフト後の重要な成果といえる。
PARIMAは規制面でも動きを進めている。
2025年10月には細胞性鶏肉でシンガポールの販売認可を取得した。今年4月には、シンガポールで細胞性アヒルについても認可を取得。5月には、オーストラリア・ニュージーランドで細胞性アヒルの安全性評価を完了し、承認に向けて前進している。
市場投入はまだ確認できていないが、日本で細胞性食品の上市が可能となり次第、日本国内での製造を行う方針も示している。
イギリス当局が公開する申請された新規食品データベースには、前身であるGourmeyの細胞性アヒルに加え、Gourmeyが買収したVital Meatの細胞性鶏肉も新規食品として申請され、リスク評価段階にあることが確認できる。EUでも、細胞性アヒルの審査が進んでいる。
「工場所有は最後の手段に」

出典:PARIMA
コンサルティング会社のArthur D. Littleは、先月公表したレポートで、細胞性食品の経済性は細胞密度と収量に左右されると指摘している。
以前は、細胞性食品で1万Lを超える規模での運転は実証されていなかったが、昨年夏にVowが22,000Lでの培養を実施し、PARIMAの今回の生産により、食品グレードの大規模生産が受託製造においても実証された。
同レポートは、残る改善余地の多くは、生物学的な要因よりも生産量の増加率に依存すると指摘している。その上で、2026年に1kgあたりの完成品コストが40ユーロ前半の細胞性食品は、2030年までに1kgあたり約10ユーロまで低下する可能性があるとしている。
その成功要因の一つとして「工場所有は最後の手段にし、可能な限り委託生産を活用する」考え方を挙げており、今回のPARIMAの成果は、共有インフラ・受託製造を活用してスケールアップするモデルの成果を示す事例として注目される。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:PARIMA























































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